妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
「正直、結婚はまだ考えられません。それに高志さんなら素敵な女性が周りに沢山いると思います。だから私でなくても」
叔父が本気なら私もしっかり返事をするべきだと、真剣に思いを伝える。
その甲斐あって、叔父と兄の表情から苛立ちが引き、張り詰めていた雰囲気が解けていく。
残念な気持ちを隠しきれていない叔父の様子に、私の気持ちを受け止めてくれたとホッと息をつくも、今度は高志さんが混乱を招く発言をする。
「周りにいる女は、誰も俺の理想の結婚相手に当てはまらない。けれど美羽なら俺の期待に応えてくれる気がする」
突然、親しげに名前呼びされ、悪寒が走る。「やめてー!」と叫びたくなるのをぐっと堪えて、恐る恐る問いかける。
「理想ってなんですか?」
「私の母のように、控えめながらもしっかりと存在感を放ち、他の社長婦人たちからも一目置かれた存在であり、もちろん社長業で忙しい父を誠心誠意支え、一番の味方で居続けられる女性だ」
今日一番の饒舌さにほんの数秒面食らう。叔母さんはそういう女性だっただろうか。