妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
「たまには一緒に食事でもどうかと思ってな」
「しょ、食事ですか?」
叔父からの初めての食事の誘いにぽかんと口が開く。
嬉しさなど一ミリもなく、逆に何を考えているのかと不信感が生まれる。
「おいおい、そんなに驚かないでくれよ。早速だが、今夜は空いているかい?」
「えぇと、今夜は……。もちろん兄も一緒にですよね?」
正直叔父と食事など遠慮したい。
しかし、叔父はこうと言ったら譲らない性分である。食事を避けられないならば、せめて兄を道ずれに。
一か八かの賭けのような気持ちで「もちろん」を強調すると、叔父が「大和か」少しばかり言葉を濁らせた。
「そうだな。美羽ちゃんだけ食事に連れていって、あとで大和にいじけられたら大変だ。今夜は美和ちゃんと大和に私、それから高志の四人だ。改めてまた連絡する」
私の返事を待たずに叔父は電話を切った。
スマホへとため息をつき、一気に表情を曇らせる。今夜のことを思うと憂鬱でたまらない。
叔父の口振りから、兄はもともと食事のメンバーに入っていなかったようだった。
私が言い出さなければ、叔父と高志さんとの三人で食事をすることになっていただろう。