妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
とは言え実際に、叔父や高志さんとの会話を思い出しては、兄の力になれる方法にあれこれ想像を巡らせているときが頻繁にある。
そのため、兄に察知されその度注意を受けていると言っても過言ではなかったのだが、少し時間を置き、考えが変わってきたのも事実だ。
副社長に兄を推す声が上がっているとも言っていた。私が下手に動いたらその勢いを削ぐことにもなりかねない。
だから私は誰よりも慎重になるべきなのだ。
しかし、今考えていたのはそれじゃない。私は正直に首を横に振る。
「違う。今週の金曜日のことを考えてたの」
「金曜日、何かあるのか?」
「うん。恭介君とデートなんだ」
自慢げに言ってのけると、兄が「恭介?」と驚いた顔をした。
「なんだよ。食事するなら俺も誘ってくれよ」
「いやよ。久しぶりなんだから邪魔しないで」
「久しぶりだからこそ、三人で」
「お兄ちゃんはまた今度ね!」
冷たく跳ね除けてから、再びカレンダーに目を向ける。そしてずっと気になっていたことを、兄に確認した。
「ねぇ、十八日って恭介君の誕生日で合ってるよね?」