妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
「本当は金曜日に言うつもりだったが、たった数日で取り返しのつかないことになりそうで怖い。他の男に取られたくないんだ。だから今聞いてくれ」
真剣な彼の表情から目が離せない。心が引き込まれ、呼吸すら忘れる。
「俺と結婚してください」
この世で私だけ、確実に時間が止まった。
私の瞳には、恭介君しか映らない。
思考が追いつかない中、一気に頬が熱くなる。
「冗談でしょ?」と言おうとしても、言葉がなかなか出てこない。
何度か口を開閉した後、戸惑うままに目をそらすと、肩を掴む彼の手の力がわずかに増した。
「突然何を言い出すのかと思っているだろうが、決して思いつきやノリで言ってるわけじゃない。昔も今も、美羽は俺にとって大切な存在だ」
そっと引き寄せ、優しく包み込むように抱き締めてくる。
びっくりしたのはほんの一瞬だけ。
恭介君の腕の中は、とても温かくて心地よい。恥ずかしいのにこの場所から離れたくなるほどに。
「これからの美羽は俺が守っていく」
力強く響いた言葉に、一際大きく鼓動が跳ねた。
ゆっくり顔をあげて互いの視線がしっかりと繋がると、恭介君が微笑んだ。
「結婚しよう」