妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~


「俺だって順序よく関係を深めていくつもりだったけど、叔父さんの話を聞いた今、悠長でなんていられない。俺も大和の考えに同意する。息子を大和の上に立たせるために、無理矢理にでも美羽との話を進めようとするだろう。美羽を巻き込むなら、俺も黙っていない」


恭介君の手が腰に触れたのを感じると同時に、軽く引き寄せられた。


「美羽は誰にも渡さない」


唇に柔らかく温かいものが押し付けられた。瞬きを三回繰り返したところで、彼の顔が遠のき、にやりと笑いかけてくる。

……キ、キスされた。

彼が私にしたことを認めると一気に顔が熱くなり、足が動かなくなる。

運転席のドアを開けた彼に「置いていくぞ」と声をかけられるまで、私は顔を熱くさせたままその場で固まり続けた。


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