妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
ふたりっきりのデートのはずが、知らないうちに兄も含めての三人に変更になっていた。
きっと兄が恭介君に仲間はずれにするなと文句を言ったに違いない。
それに実は、恭介君の誕生日プレゼントを用意していない。
食事が終わった後、彼と一緒に買いに行こうと考えていたのだ。
このままでは間違いなく、それにも兄が付いてくる。
それから、今夜はこの前の話を改めてしたいとも考えていた。
あの瞬間は頭の中が真っ白でうまく反応できなかったけれど、この数日間ひとりで考えることができたおかげで、今ならもう少しまともに話し合いをすることができるはず。
しかし兄も混ぜてとなると、話が大きくなって収集がつかなくなりそうで怖い。
ついでに、恭介君のそばに行ったら意識してしまうだろう自分を兄に気取られたくない。
唇に触れるだけで恭介君の感触が蘇り、胸がひどくざわめき出す。私の平常心はいつまでもつだろう。
小さくため息をついた私に、「そう言えばさ」と改まった声で運転席から話しかけてくる。
「この前恭介のお母さんに呼び出された時に、あいつと会ったって言ってたけど、久しぶりだったんだよな? それとも今までにも、俺に隠れて時々会ったりしていたのか?」