妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
兄の見えないところで、恭介君に指を絡め取られ、きゅっと手が繋がる。

頬がカッと熱くなる中、兄からも際どい質問をされて、動揺がさらにひどくなる。


「ま、まだ返事はしてないけど......」


今の私の中には、戸惑いしかない。

けれど、握り合う手と手に視線を落とす度、胸の奥が熱くなっていく。

私の中に、恭介君のことをもっともっと身近に感じたがっている自分がいる。

このまま彼と一緒に時間を過ごしていったら、もしかしたらいつかきっと私たちは......。


「答えを出してないくせに、顔を赤らめやがって。意識してるの丸わかりなんだよ」


頭の中で恭介君との甘い未来を思い描いた瞬間、兄から文句が飛んできて、思わず息をのむ。


「可愛い妹を奪われそうで面白くないのだろうけど、美羽にまで不満をぶつけるな」


恭介君にたしなめられて兄はふんっと鼻を鳴らす。

不満顔のまま、料理をガツガツと食べ始めた。

そんな兄に対して、恭介君がにやりと笑う。


「よく味わって食べろよ。次また三人で会う時は、もしかしたら食事が喉を通らないかもしれないからな」


意地悪な口調での忠告に、兄が「は?」と恭介君に不機嫌な視線を戻す。


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