妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~


「次は、妹さんは俺がもらうって言う時だ」

「それって、娘さんを僕にくださいって、頭下げるやつだろ? なんで上から目線に変わってるんだよ!」

「どうして俺がお前に許しを請わなくちゃならない。あぁそれから、食事が済んだらさっさと帰ってくれ。俺は美羽とふたりっきりで話がしたい」

「嫌だね。狙ってると分かってるのに、妹を置いていけるか!」


当然だと言わんばかりの恭介君の要求に、すぐさま兄が噛み付く。

車の中で聞かされた強い絆はどこに行ったのかと笑みを浮かべつつ、けれど、私も恭介君
の意見に賛成なので、自然と彼を後押しする形になる。


「お兄ちゃんは帰って。私も恭介君と話したいことあるし、それに元々、食事の後に一緒
にプレゼントを買いに行けたらと考えてて」

「お、俺も一緒に」

「はっきり言う。邪魔だ」


恭介君にバッサリと斬り捨てられ、兄はほんの数秒表情を失うもすぐに顔を赤くさる。


「分かったよ! 恭介、絶対に美羽に手を出すなよ! 門限は十一時だ! 一秒でも遅れたら
絶交だからな」


ガツガツと食べ始めた兄を見つめ、恭介君の「子供か」というぼやきを耳にしながら、私
は笑みを深めた。

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