妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
「高志が、美羽ちゃんと青砥の息子のことをすっかり誤解していてね。これからは会うのを控えて......」
「誤解ではないです!」
震える声を叔父さんの言葉に被せた。
断りの話だけでなく、恭介君との結婚を叔父にもいずれ話さなくてはいけないのだから、この機会に言ってしまうべきだろう。
「誤解ではない?」
叔父の表情に動揺が走り、目つきも厳しくなるが、私も怯んでいられない。
叔父と兄を交互に見つめてから、勇気を振り絞り口を開いた。
「私は青砥恭介さんと結婚します」
ガタリと音を立て、叔父が椅子から立ち上がった。
兄は最初こそ驚きで目を大きくしていたが、すぐに受け入れたらしくほくそ笑んでいる。
「待ってくれ。羽柴コーポレーションより、アオト株式会社を選ぶってことか?」
「どうしてそうなるんですか? 私は会社で選んだつもりはありません。恭介君とならこれからの人生を共にできると思ったから」
「綺麗事を言うな! どうせ、高志と羽柴、アオトとその息子を秤にかけて、どっちと結婚したら自分の得になるか考えたんだろ?」