神様なんて、いるはずない!!
気持ちのいい青空が広がっていて、初夏の風はきっと気持ちいいんだろうな。小学生たちが学校へ向かう楽しげな声が聞こえてくる。

時計を見ると、朝の八時。もう家を出ないと学校は遅刻する時間。でも私、卯月亜子(うづきあこ)はベッドの上に横になったまま。

コンコンコン、とドアがノックされる。誰かはわかっている。私は気怠そうに「はい」と返事をした。

「亜子、今日も学校に行かないの?」

「……うん」

ドアの前でお母さんが言っている。その声は私を心配しているものではなくて、呆れているような声。

「いい加減にしてほしいわ!お母さん、職場の人に笑われるじゃない!!」

お母さんの文句を無視し、私は布団を頭からかぶる。痛みや悲しみ、人の心の醜さに苦しめられて、ずっと逃げ込める場所を探していた。それがこの部屋なの。

お母さんは文句を言っていたけど、仕事へ行ったみたいだ。部屋の前は静かになっている。私は布団から出て窓の外を見つめる。学校へ向かう生徒がたくさんいる道路。
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