神様なんて、いるはずない!!
お菓子の袋を開ける音、ジュースがコップに注がれる音、二人が楽しげに話す声、鳴り響く音楽ーーー。

何でだろう……。今までは外の世界から逃げたくて、全てを遮断しようとしていたのに、二人のいる世界の音ならいくらでも聞いていたいって思う自分がいる。

「ねえ、亜子ちゃん」

紫音ちゃんがドアの前の私に話しかける。その声は、学校にいる時と変わらない穏やかなもの。

「本当に大事なものってね、案外くだらないことの中にあるんだよ。生まれてきた理由がわからないっていうのはね、亜子ちゃんがもっと素敵な人になれるってことなんだよ」

そうそういいこと言う、と柚月葉ちゃんも言った。

「時にはこうやってバカ騒ぎしようよ!意地悪な家族や人がいるけどさ、それはあんたが素敵な人っていう証なんだよ。それだけあんたは努力家でいい人なんだから」

私の頰を涙が伝う。この涙は悲しいものじゃないって、私自身が一番知ってる。私、今、幸せを感じてるんだ。
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