卒業まで100日、…君を好きになった。
ごにょごにょと言うわたしに、奈々がくすりと笑う。
『なーに、それ。どこがどう釣り合わないの?ていうか、釣り合わなきゃ付き合っちゃいけないの?』
「そうじゃないけど……。とにかく、平くんはたまたま居合わせただけで、付き合ってるとかじゃないから」
心配して電話までかけてくれた奈々に、まだ嘘をつき続けるのかって思うと……正直気が重い。
罪悪感っていうやつだ。
でもこれは平くんとの約束事だし、勝手に破るわけにはいかない。
平くんも瀬戸くんには話してないんだし、わたしだけ話すのはだめだと思う。
それに……ふたりだけの秘密にしておきたいって、そう願う自分も確かにいた。
『えー。でも一緒に帰ったんでしょ? 平くんも戻ってこなかったし』