卒業まで100日、…君を好きになった。

なぜこの立派な平家にお邪魔することになったかというと、単純に彼に誘われたから。

なんて言い方はちょっと、いやかなり語弊があるんだけど。


わたしは予想通り技能の練習が上手くいかなくて、引きずられるように学科の勉強にも集中できていなかった。

みきわめにも失敗しているうちに、平くんはこちらも予想通りあっさり仮免に合格していて。

差が開いてしまうことに焦ったけど、ようやく今日みきわめをなんとか乗り切った。

自分でも奇跡だと思った。


でも次の修了検定と学科試験を想像して、受ける前からガチガチに緊張してしまっていたわたしを見かねて、平くんがおうちに誘ってくれたのだ。



「ウチくる?」



なんて軽いナンパのようなセリフに最初は固まってしまったけど。
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