卒業まで100日、…君を好きになった。
可愛いリボンをわざわざ買って。
心をこめたチョコレートに精一杯のおしゃれをさせた。
でもそれも、渡さなくっちゃ意味がない。
ひとっつも私の気持ちは伝わらない。
「ほんと、バカみたい……」
一時でもすべて忘れてただ、自分の気持ちだけを胸に渡せたらよかったのに。
余計なことをごちゃごちゃ考えて、せっかくのチャンスも棒にふる、臆病で意気地のない自分が情けない。
だめだめだ。
だめだめのまま、わたしは卒業するのかもしれない。
拓に嫌われたまま。
葉子ちゃんにも嫌われたまま。
平くんに想いも告げられないまま。
「心残りありまくりじゃん……」
ホームに電車が到着する。
わたしは箱を押し潰すようにして、バッグにしまいこんだ。