卒業まで100日、…君を好きになった。
「ありのまま、隠しごとなしで話そうよ」
「……なんだよ、それっ」
わたしの手を振り払い、コートつき返しながら、拓は強くわたしを睨みつけた。
「話すことなんてねぇんだよ! ムカつくんだよ! へらへら笑って、なんにも知らねーで、好きなようにやってんのが死ぬほどムカつく!」
小さな動物の威嚇みたいな、精一杯の叫び。
それを正面から受け止めて、わたしはごめんと謝った。
謝る以外なにをすればいいのかわからなかった。
「だから何で謝るんだよ……っ」
わたしはなにも知らないと言う拓。
じゃあ拓は、なにを知ってるの?
弟はわたしになにを隠して、なにをひとり抱えこんできたのか。
「逃げないから。怒らないから。ちゃんと聞くし、わたしもわたしが思うこと、隠さないで話すよ」