卒業まで100日、…君を好きになった。

「ありのまま、隠しごとなしで話そうよ」

「……なんだよ、それっ」


わたしの手を振り払い、コートつき返しながら、拓は強くわたしを睨みつけた。


「話すことなんてねぇんだよ! ムカつくんだよ! へらへら笑って、なんにも知らねーで、好きなようにやってんのが死ぬほどムカつく!」



小さな動物の威嚇みたいな、精一杯の叫び。


それを正面から受け止めて、わたしはごめんと謝った。

謝る以外なにをすればいいのかわからなかった。



「だから何で謝るんだよ……っ」



わたしはなにも知らないと言う拓。


じゃあ拓は、なにを知ってるの?

弟はわたしになにを隠して、なにをひとり抱えこんできたのか。



「逃げないから。怒らないから。ちゃんと聞くし、わたしもわたしが思うこと、隠さないで話すよ」
< 273 / 356 >

この作品をシェア

pagetop