卒業まで100日、…君を好きになった。

「親に向かってなんだ、その口のきき方は!」


顔を赤くしてそう叫んだあと、腰に響いたのかお父さんは背中を丸めてうめく。



「……腰、つらいみたいだから、明日の朝の仕込み手伝うよ。だから拓には絶対に何も言わないで。明日わたしが帰ってきてから、話し合おうよ」

「おい、唯!」

「おやすみなさい」



お父さんもまだ興奮してるんだと思う。たぶん。

今日は双方に休みが必要だ。


お父さんの寝室をあとにしてリビングに向かう途中、お風呂からあがった拓に会った。


拓は不安そうな子どもの目でわたしを見る。



「だいじょうぶだよ。明日、学校からまっすぐ帰ってくるから待っててね」

「……うん」



湿った拓の頭をなでながら、久しぶりに姉らしいことができてるなあ、なんて思った。


続いてくしゃみをして、拓に早く風呂入れって命令されてしまったけど。




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