卒業まで100日、…君を好きになった。

平くんの顔は見えない。

でも彼に話しかける木内さんの笑顔は、同性から見てもキラキラ輝いていてかわいらしい。


昨日は拓のことがあって考えないようにしていたけど……そうか。

本当にふたりはそういう仲なんだ。



「木内は有言実行の女だなあ」

「わ! あ……平くん」



前方にいる平くんとそっくりな顔が、にこりと笑ってわたしを見降ろした。


弟の平くんだ。

今日も爽やかな優等生らしい姿が目にまぶしい。


いつだって注目を浴びる彼に話しかけられたから、わたしまで一気に目立ってしまった。



「春川さん。クッキーありがとう。すごく美味しかったよ」

「あ。いえ、そんな……。お口に合ってよかったです」

「ついてたカードの文章は、いただけなかったけどね」
< 281 / 356 >

この作品をシェア

pagetop