卒業まで100日、…君を好きになった。
平くんの顔は見えない。
でも彼に話しかける木内さんの笑顔は、同性から見てもキラキラ輝いていてかわいらしい。
昨日は拓のことがあって考えないようにしていたけど……そうか。
本当にふたりはそういう仲なんだ。
「木内は有言実行の女だなあ」
「わ! あ……平くん」
前方にいる平くんとそっくりな顔が、にこりと笑ってわたしを見降ろした。
弟の平くんだ。
今日も爽やかな優等生らしい姿が目にまぶしい。
いつだって注目を浴びる彼に話しかけられたから、わたしまで一気に目立ってしまった。
「春川さん。クッキーありがとう。すごく美味しかったよ」
「あ。いえ、そんな……。お口に合ってよかったです」
「ついてたカードの文章は、いただけなかったけどね」