卒業まで100日、…君を好きになった。
「なんで……」
平くんの声が、静かな部屋に小さく落ちる。
ぽとりと。
椿の花が落ちるみたいに。
「なんで、いきなりそんなこと言うんだよ?」
さっきよりしっかりと届けられた声。
でもそれは少し震えていて、わたしは布団の下で唇を噛んだ。
涙が止まらない。
「俺といるの、嫌になった?」
布団の下でもわかるように、ぶんぶんと首を振る。
いま返事をしたら、泣いているのがバレてしまうから。
「じゃあ、なんで? 俺気に障る事言った?」
もう1度首を振る。
布団のはしっこを、ギュウッと強く握りしめた。
「ちゃんと言えよ、わかんねーよ……」