卒業まで100日、…君を好きになった。

なんだか、平くんの声が、泣きそうなものに聞こえて。

もしかして、泣くのを我慢してるのかなって。


わたしと同じように寂しくて悲しくて苦しい想いを、彼も少しでもしてるのかと思うと。

不謹慎だけど、ひどい話だけど、うれしいと感じてしまった。


わたしのことをちょっとでも惜しいと思ってくれたなら、それだけで充分だ。



「俺はイヤだ。卒業までって約束だろ」



だからもう、これ以上は。

許して。


布団の下はひどく息苦しくて、嗚咽をがまんするのはそろそろ限界だった。



「なんで何も言ってくれないんだよ……」



ごめんね。

ごめん。


首を振るしかできなくて、ごめんなさい。

好きになってしまって、ごめんなさい。
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