卒業まで100日、…君を好きになった。
息苦しい布団をはいで、顔を覆ってわたしは泣いた。
廊下でお母さんの声がしたあと、窓の外から玄関のドアが閉まる音がした。
平くんが帰っていく。
「う、うぇ……ひっ」
外にいるだろう彼に聞こえないように、精一杯声を押し殺して泣いた。
好きでした。好きでした。
君のことが本当に、大好きでした。
楽しい時間をありがとう。
君と過ごした時間は卒業しても、わたしの宝物です。
ありがとう。
彼の気配が外から消える頃、わたしはようやく心のままに、声をあげて泣くことができた。
好きです、と。
さようなら、を。
くり返しくり返し、心で叫びながら。