卒業まで100日、…君を好きになった。
口に残るミートソースの味を急に強く感じて、その匂いに食欲がどんどん刺激されはじめる。
グラスについた水滴が宝石みたいに輝いて見え、
正面の平くんはわたしの目に王子様のように映る。
自然と笑顔があふれてきて、わたしは彼に右手を差し出していた。
「同盟を結びます! よろしく平くん!」
平くんはぱちぱちとまばたきしたあと、そっとわたしの右手をにぎってくれた。
ひんやりとして、骨ばった、大きな手。
男子に触れることなんてほとんどないのに、この時なぜかわたしは緊張もしていなくて。
ただ、彼の無表情な顔がどこかうれしそうに、ほっとしたように見えて。
それがとても、嬉しかったんだ。