雪降る夜は君に会いたい
「うー、食べ過ぎで胸やけするー」
「今度からは注文し過ぎないようにしないとね」
「お前だろ!」
俺の反論には聞く耳持たず駆け出すとガラス越しに飾ってある服を眺めて物欲しそうな顔をこっちに向けてくる。全く、反省というものがないのか。
「あったあった」
日曜日でも開いてる眼科で診断をしてもらい、俺は人生で初めてのコンタクトレンズを使用することになった。
街を歩いてガラス越しに見える自分の顔になんだか照れてしまう。本来の自分の顔なのに眼鏡がないとこんなにも照れてしまうのは眼鏡が身体の一部になってたと言うのもあながち冗談ではないのかもしれない。
「なんか顔が寒いな」
「そんな表現する人いないわよ」
髪を散髪してすぐというのもあって、毎朝鏡越しに見ている自分じゃないように思える程違って見える。やがてこれが当たり前になると今朝までの格好になんか戻りたくないと思うのだろうか。それは、今までの自分の身なりを全否定することになるのだが一般的には正しい認識なのだろう。特にヲタクというものは誰が見てもヲタクとわかるような姿に自然となる不自然な生き物なのだ。そして大多数の者が不潔不衛生な生活を送っている。俺はそれだけは嫌な性分なので清潔なヲタクを心掛けているがそれも回りから見れば同じなのだろう。
生まれ変わるというのは簡単でもなく一朝一夕でできるものではないのだが、見た目を普通にするだけでこんなにも変われるものなのか。それとも俺がまだデブの不衛生でなかったから救われたのだろうか。
心も脳内もヲタクのままだが、見た目だけは一般的にする方が良いと気付かせてくれた雪実を素直に感謝すべきだな。
「ありがとな」
「なにを急に、びっくりするじゃない」
ガラス越しに映っている雪実は驚いた顔をしたが、やがて照れて揺れながら下を向いた。女の子の照れた仕草っていうのは、男心を擽ってくる。こんなのドラマの中だけの大袈裟なシーンかと思っていたがそれは観ている自分の経験の無さがそう思わせていただけだった。
「マジ天使! 雪実マジ天使だぜ! って、こんな感じで言えばいいのかな?」
「それで喜ぶ女とは今後連絡を途絶えた方が身のためよ」
「そりゃそうだよな」
素でありがとうと言った後に照れくさくなり、しかも照れた雪実を見てなんか恥ずかしい雰囲気になったのを誤魔化すためだったのは言うまでもない。
「天使じゃないけどさぁ……」
「今度からは注文し過ぎないようにしないとね」
「お前だろ!」
俺の反論には聞く耳持たず駆け出すとガラス越しに飾ってある服を眺めて物欲しそうな顔をこっちに向けてくる。全く、反省というものがないのか。
「あったあった」
日曜日でも開いてる眼科で診断をしてもらい、俺は人生で初めてのコンタクトレンズを使用することになった。
街を歩いてガラス越しに見える自分の顔になんだか照れてしまう。本来の自分の顔なのに眼鏡がないとこんなにも照れてしまうのは眼鏡が身体の一部になってたと言うのもあながち冗談ではないのかもしれない。
「なんか顔が寒いな」
「そんな表現する人いないわよ」
髪を散髪してすぐというのもあって、毎朝鏡越しに見ている自分じゃないように思える程違って見える。やがてこれが当たり前になると今朝までの格好になんか戻りたくないと思うのだろうか。それは、今までの自分の身なりを全否定することになるのだが一般的には正しい認識なのだろう。特にヲタクというものは誰が見てもヲタクとわかるような姿に自然となる不自然な生き物なのだ。そして大多数の者が不潔不衛生な生活を送っている。俺はそれだけは嫌な性分なので清潔なヲタクを心掛けているがそれも回りから見れば同じなのだろう。
生まれ変わるというのは簡単でもなく一朝一夕でできるものではないのだが、見た目を普通にするだけでこんなにも変われるものなのか。それとも俺がまだデブの不衛生でなかったから救われたのだろうか。
心も脳内もヲタクのままだが、見た目だけは一般的にする方が良いと気付かせてくれた雪実を素直に感謝すべきだな。
「ありがとな」
「なにを急に、びっくりするじゃない」
ガラス越しに映っている雪実は驚いた顔をしたが、やがて照れて揺れながら下を向いた。女の子の照れた仕草っていうのは、男心を擽ってくる。こんなのドラマの中だけの大袈裟なシーンかと思っていたがそれは観ている自分の経験の無さがそう思わせていただけだった。
「マジ天使! 雪実マジ天使だぜ! って、こんな感じで言えばいいのかな?」
「それで喜ぶ女とは今後連絡を途絶えた方が身のためよ」
「そりゃそうだよな」
素でありがとうと言った後に照れくさくなり、しかも照れた雪実を見てなんか恥ずかしい雰囲気になったのを誤魔化すためだったのは言うまでもない。
「天使じゃないけどさぁ……」