年上少女のことが好きな年下少年の恋物語

ゆずは集中すると耳が遠くなるので、声を張らなきゃ聞こえない。



まるでヘッドフォンをしている状態だ。




広々とした部屋は、生活感がほぼない。



ベッドが綺麗にシワもなく整っている。



「今日も徹夜か」



「へ・・・へへっ・・・」




笑って誤魔化そうとするゆず。

今日はメガネをしておらず、久々に可愛らしいその瞳を見た気がする。



だがその目の下にはクマがあり、顔も青白い。




周りを見渡すと、勉強机があるが、教科書は一切ない。



壁にはゲームのキャラクターが載ったポスター。


棚には本があるが、ゲームの攻略本。見えないが、引き出しにはゲームソフトが詰まっている。



可愛げなど微塵も無い。





そう、この小説のヒロインは、ゲーマーなのだ───────





ゆずがゲームと出会ったのは小6の、鈴と仲良くなった頃だった。




ゆずはよく鈴の家へ遊びに行った。




ゆずはゲームを見たことがなく、鈴が持っているゲーム機に興味が湧いた。



だからよく遊びに行って、戦闘物のゲーム、時頼協力プレイのゲームなどで遊んだ。




そんな楽しそうなゆずを見兼ねて、鈴の母親はゆずの母へあるお願いをした。




「ゆっちゃん、すごく楽しそうだからゲーム機、買ってあげたら?」


「あら、そうなの・・・??そうねぇ考えてみるわ」




ゆずの父親は病気でなくなったばかりだった。



ゆずが元気をなくしていたところに御門家が来た。


それに家族ぐるみで仲良くしてくれた御門家に、ゆずの母は感謝していた。





このゲーム機があれば、すーちゃんも一緒に遊べるし、ゆずだって元気になれるわ・・・・・・!!




ゆずの母が買ったゲーム機は数年後、ゆずがゲーマーとなる柱を作り上げてしまった───────





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