年上少女のことが好きな年下少年の恋物語
「あーっ!!くっ・・・・・・うおあっ!!」


「うわっ!!・・・・・・やばっ!!」



ゆずが操るキャラと鈴が操るキャラが格闘技で戦いあっている。



体を動かしても無駄だとはわかっているが、反射的に避けたり上半身を上下に動かしてしまう鈴だった。




体力の残量が残り1%のゆずキャラに対し、まだ体力が半分はある鈴キャラ。




もう勝負は見えたかと思った・・・・・・




が、




「これで終わりだ・・・!!ゆず!!」



「・・・・・・ふふっ」



異様な笑みを浮かべたゆずの瞳はまだ諦めていない。




鈴キャラが飛び蹴りを喰らわせようとする。



それを素早いコントローラーの手さばきで難なくよけ、鈴キャラの背後を取る。





「・・・・・・がっ!?!?」




ゆずの懇親の一撃によって、体力が吸い込まれるように減っていき、ゼロへ。




「強者は奥の手を隠してるんだよ✩」



「くっ・・・・・・くそ・・・っ」




まさか体力1に負けるなんて予想もしていなかったのか、鈴の落ち込みようが凄まじい。





ここ最近は特に、ゆずに勝てない。


前も多少は負けてたけど、10連敗はしなかった。。。




なんでだ。格闘も運ゲーでさえも勝てん。

こいつ・・・・・・やりこんでるな・・・・・・




「ふふーん♪私には師匠ができたから。もうすーくんには負けないよ」



「なんだそれ。遂に架空のキャラが現実に見えるようにでもなったんか」



「ちっ、ちがうよ!!ちゃんといるよ!!前に一回だけ通話したもん!!」




「・・・・・・は?お前それ知ってる人なん?」




「・・・いや?知らない人だよ?ネットで会ったの」




「男?」




「声は男の人だったよ」




「・・・・・・・・・」





俺。今顔怒ってるかな。


めっちゃ目細めてるよ絶対。



だって、知らない男と通話って。馬鹿でしょ。


いくらゲーム上であっても、男は男だぞ・・・・・・




・・・・・・バカゆず・・・・・・。




そのあとゆずがこっちの気もしれないで、その師匠とやらのことを色々と話してきた。




「I.S...PDN...136(あいえすぴーでーえぬいちさんろく)さんって言うんだけど、師匠って呼ばせてもらってるの!!すっごくゲーム上手いの」



「え、イ( I )ンド人好( S )きなプ( P )リン大( D )好き人間( N )、いさむ??」




「どっから出できたのそれ(笑)」



そいつのことよくわかんないけど、声的に若かったらしい。



通話したのも1年くらい前に1度だけで、それからはゲーム上のメールのやり取り。



まぁ、ホントは辞めさせたいけど。メールの内容は変なじゃないし。会おうとか言ってきてないし。



何より────────




「色々コツとか教えてもらったんだ〜」




ゆずの幸せそうな顔が、壊れるのは嫌だった。


ずっと笑顔でいて欲しかった。







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