年上少女のことが好きな年下少年の恋物語
駅前のショッピングモールに来た。


すーくんと外へ出かけるのは久々だ。



ショッピングモールはなんかキラキラしてて好きだ。




「お腹すいたねぇー何食べる??」


「やっぱ・・・・・・ケーキだろ」



普通の人なら、お昼にケーキとか物足りないとかそれはおやつだろとか言うだろう。



「うん。当たり前だよね」




この2人は途轍もなく超甘党人だった。







「ん〜!!おいひぃ〜!!」



「うま。うま。うま」




ここら辺じゃ1番美味しいケーキ屋さんがショッピングモール内にある。



それに学生の財布には優しく、とても安い。




そこに2人はありったけのケーキを皿に盛り、目を輝かせながら頬張った。




ショートケーキにチョコケーキ、モンブランにロールケーキ・・・・・・さいっこうっ・・・!!





余韻に浸っていると、後ろで「きゃっ」と、女性の声が響いた。




振り返ると、女性の白いワンピースの胸元にチョコケーキがベッタリついていた。




「あッ!!ごめんはなちゃんッ!?」


「もうっ!いつも気をつけてって言ってるじゃん!!おっちょこちょいなんだからっ!!」



どうやら2人はカップルのようだった。


もし他人同士だったら、ものすごく怒ってそう・・・・・・。



定員がタオルを手渡すと、彼氏が慌てて拭こうとするが、もちろん胸元なので彼女は彼氏からタオルを奪って自分で拭く。



チョコは落ちることなく、シミのように茶色く残ってしまっている。



それに彼女はガクッと肩を落として、



「私、このまま歩くの・・・・・・」



「・・・ごめんっ!!ホント許して・・・!!」




彼氏が土下座でもする勢いで謝る。


彼女はと言うと、周りの目を気にし、「や、やめてよ・・・!!」と、彼氏を制止する。





ゆずはメガネのブリッジを中指で触れる。



そして、ゆずは立ち上がり、そのカップルの元へと向かう。



「・・・・・・??ゆず・・・・・・??」



鈴が何してんだと言わんばかりの顔だが、ゆずは気にせず近寄った。



「あの、この羽織、よかったら来てください」



「・・・・・・え・・・・・・??」



ゆずが手渡したのは、自分の持っていた羽織だった。



今日、寒くなるとテレビで言っていたので、一応持ってきたのだ。



「え、でも・・・・・・」



「いいんですよ。これ着ればちょうど跡も隠れますし。これ買っても着たことがなかったので。着てあげてください」




すると、彼氏の方が、うるうると目に涙を浮かべ、



「あ、ありがとうございますっ!!」


「ありがとうございます。今後こんなことないように、ちゃんと叱っておきます」



一瞬青ざめた顔になった彼氏だった。



それでも仲の良いカップルだ。羨ましくもある。



元の席に座っていた所に戻ると、鈴が目を背け、「ん」と、自分の着ていたパーカーを私に向けていた。




「お前、寒いの苦手だろ?これから寒くなっから着とけ」



そんな鈴は今は薄い長袖姿だった。



「でも、すーくんも寒くないの?風邪ひいちゃう・・・」



「俺は男だからへーきだっての」


ゆずの言葉を遮り、鈴はパーカーを手渡した。




着てみると、温かくて、鈴の優しさが伝わった気がした。








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