年上少女のことが好きな年下少年の恋物語
掃除当番代わって。
今日筆箱忘れたから貸して。
寒いから上着貸して。
どれもこれも、瑠子のためだと思ったことだった。
掃除当番は、その曜日は瑠子がたくさん本を持って帰るってわかってたから、きっと本をめいいっぱい読むのだと思ったから。
筆箱は、私のお気に入りのシールを貼ってあげようかと思ったから。
上着は、給食でこぼしたのか、シミがついてたから、見られないようにって思ったから。
実行委員だって、そういうの、めんどくさいと思っているかと。
それに、鈴くんのことが苦手なのだと思っていた。いつも目を逸らすし、極力近寄らないようにしていると見えたから。
だから、代わりにやってあげようって思った。
「私、鈴くんといっぱい一緒の時間過ごしたいの。ね?協力してよ?」
適当なことを言えば、いいと思った。
少し強引な感じで、私が嫌な奴って思われるって考えたけど、そんなのどうでもよかった。
ただ、代わってあげたい。
それだけだったのに───────
それが、余計なお世話だった。
「もう決まってんならそれまでだろーが。諦めろよ。しつこい女は嫌われるぞ」
そう、好きな人から言われた。
私は素直じゃないから、ついホントのこと言わずに、鈴くんと一緒にいたいだけ、とか言っちゃった。
そしたら、鈴くんは心に決めた人がいるって。
鈴くんに告白もしてないのにフラれて、
瑠子にも迷惑かけて、
もう、最悪だった。
教室から出て、体育館裏で泣いていた。
今までのこと、全部無駄だったって。
いい方向に向かっていたと思った私の人生、ホントは、最悪だ。