年上少女のことが好きな年下少年の恋物語
「コンタクト面倒でしょ。メガネの方がいいよ。あと、髪も縛った方が邪魔じゃないでしょ。あとスカートも長い方が下に体操着着れるよ」
とてつもなく自分勝手なことを言ってしまった。
やばい嫌われるよ。これは。言いすぎた。俺のバカ!!!!
鈴は自分の発言に失望する。
だが、そんな鈴の言葉をゆずは受け止めた。
「そっかぁ。そうだね!そうするよ!ありがとう」
彼女の素直さにはいつも驚く。
罪悪感とこれできっとモテなくなるという安心感が入れまじる中、今日を迎えた。
まだダボダボの制服で足取りが重いからか、ゆずの歩くスピードが早いからか、ついて行くのに少し小走りになる。
みんな絶対思ってるだろ。どうぜ。
認めない。
認めないぞ。
俺は認めないぞ。身長がちっちゃいから(143cm)歩幅が合わないとか、絶対に認めない。
歩いていくと1本の道が2つに別れた。
ゆずはそのまま真っ直ぐ、鈴は横に曲がる。
「じゃぁ行ってらっしゃい」
「うん・・・・・・」
ゆずに背を向け歩き出す。
この道を真っ直ぐ行って右に曲がると、そこはもう中学校だ。この道を行くのは3回目。
今日はいつもよりもっと憂鬱な日になりそうだ。
本当にあの昭和の人みたいな格好で行かせてよかったのか・・・??
あれ、ひゃくぱー俺の自己満だし・・・・・・あれならモテないと思った俺、余裕なさすぎだろ・・・・・・
どうか学校で男に目つけられませんように・・・
「すーくん!!」
「・・・・・・!?」
目の前にはさっき別れたはずのゆずがいた。
ゆずは笑っている。
するとゆずが鈴の口角をクイッとあげた。
「今日、なんか元気ないから・・・すーくんは笑ってる方がいいよ」
「え・・・・・・」
「私、何気にこの格好気に入ってるんだ。だから、ありがとう♪」
そう言い残すと、また来た道を走って行った。
・・・・・・・・///////!!!!!!
「・・・・・・ゆずも、ありがとな!!頑張れよ!!変な奴(男)に絡まれるなよ!!」
ゆずは大丈夫だ。
見た目なんか関係ない。ゆずには誰にも負けない優しさがある。
もう罪悪感なんてない。あるのは───────
「うん!!」
ただ、ゆずが好きだと思う気持ちだけだ。
これは12歳の少年の恋の話。