年上少女のことが好きな年下少年の恋物語
4.火曜日の夜
「え・・・誰・・・」
傑くんにも誰って言われた・・・・・・。
「ゆずの、こんなに可愛かったらモテモテだね」
千代が何かを企むように笑う。
「もう、お化けかと俺思っちゃって〜」
しれっと幽霊扱いする桜賀に、私の代わりに千代ちゃんが蹴りを入れる。
「・・・・・・あ、2人とも〜もうちょっと近寄って〜」
ゆずと傑を近付けた桜賀は、カシャッとスマホで写真を撮る。
「・・・は。盗撮だぞ。警察呼んで牢屋に行け」
「ひっひどいなぁ。すぐるん。いいじゃん!!すずっちょに現状報告だよ☆」
あ、もうそろそろ遠足も終わる時間帯か。私もメールしよ!
オレンジ色に染った空は山で見ると一段と綺麗だ。
ピロリン。ピロリン。
メールが誰かから入ったので、画面を見る。
「・・・・・・はあ!?」
思わず、椅子から立ち上がってしまう。
メールは桜賀からで、こう、書かれていた。
『やっほ〜☆すずっちょ!!今日は遠足おつかれ〜でねでね!!なんとゆずのっちがめっちゃ美少女で!!すずっちょ、なんで教えてくんなかったのさ〜〜それを見たクラスメイト驚いちゃって(笑)特に男子のゆずのっちに対する目が変わったね( ー̀∀ー́ )
まぁとにかく、楽しんでくるヨ!!』
そして、メガネを外したゆずと、傑のツーショット写真。
こいつ、俺を怒らせたいのか・・・・・・??
だから、メガネは必須だったんだ。。これから変な男たちがゆずを・・・・・・!!
スマホを急いで操作し、ゆずの携帯電話の番号が表示された、通信ボタンをタップする。
プルルルル・・・・・・プルルルル・・・・・・
出てくれ・・・!!ゆず・・・!!
バチィッ・・・・・・もしもし??すーくん??
「ゆ、ゆず!!大丈夫か??変な奴いない??」
『うん??大丈夫だよ?今からメールしようと思ってたんだー。奇遇だね』
「・・・・・・そうか。よかった」
いつも通りのゆずで、少し安心した。
いつもはすぐ隣にゆずがいて、話したいと思えば、窓を開けたらすぐ話せた。
・・・・・・って、俺どんだけ寂しいんだよ!?修学旅行とかどうしてたっけ。
だけど、大丈夫。ゆずは今、楽しくオリエンテーションをして、安心────────
『なんかね、さっきも男子に呼ばれちゃって、一目惚れしましたーって言われちゃって(笑)』
・・・・・・・・・安心できねぇ。
しかも、さっきもって・・・・・・"も"って・・・
「んで、どうしたの?」
あくまで冷静に・・・・・・冷静に。
ここで取り乱したら男としてダメな気がする・・・
『断ったよ。クラス違う人だったから、よくわかんないし』
クラス違うって・・・・・・学年に広まったな・・・これ・・・
『あーもしもし鈴?』
その声は、千代だった。
『へへっ・・・・・・これから敵がわんさか出てくるよ〜頑張ってね♪』
「・・・そんなこと、ずっと前からわかっとるわ!!おやすみ!!」
通話終了ボタンを押す。
ベッドに腰かけ、膝を抱える。そして、顔を埋める。
「・・・・・・早く帰ってきて、ゆず・・・・・・」