一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
中武主任の言っていた通り、連れだって歩く海音と萌音は注目の的だった。

「葉沢さん、こちらが海音の新しいバディ、流川さんだ。建築のことなら何でも来いの優秀な社員だから色々とよろしく頼むよ」

社員食堂を取り仕切る50代の女性、葉沢さんを見つけると、中武主任は徐(おもむろ)にそう告げた。

「まためんこい娘っこだね。大丈夫。社内のみんなに頼んどくから安心しな」

゛社内ってどんだけこの人顔が広いんだろう゛

まあ、それくらい沢山の人にお願いしなければならないくらい海音はモテるという意味だろう。

「お気遣いなく。こう見えて意外と打たれ強いので」

萌音の可愛い気のない言葉にも、葉沢はにこやかに

「打たれる必要はない、って言ってるんだよ」

と言いながら、萌音が注文した竜田揚げ定食を差し出してくれた。

「ありがとうございます。心強いです」

美味しそうな香りと、葉沢のぶっきらぼうな優しさに思わず笑みがこぼれた。

「こりゃ、ギャップにキュン死するね」

意味不明な葉沢の言葉に

「俺のバディですから」

と海音が返事をした。

「おやおや」

呆れる中武主任と葉沢、無愛想な海音を置いて、萌音は空いている席の確保に向かった。
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