一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
゛バディを組んでまだ3日。恋人でもないのに海音さんと何度もキスをしてしまった゛

溜めていたお湯につかりながら、萌音は両頬を手のひらで挟みながら一人悶えていた。

海音はどちらかというとクールで淡白そうにみえるのに、萌音に対しては溺甘モード炸裂だ。

女性すべてに対してそうなのかと思っていたが、佐和田という同級生に対する態度を見るとそうでもないらしい。

いつもは萌音以外、誰もいないこの家に海音がいる。

警戒心バリバリで捨てられて保護された犬のように、虚栄心を前面に出して強がっていた萌音が、知り合って間もない男性を家に招きいれ挙げ句の果てに泊めようとさえしているのだ。

父や母が聞いたら腰を抜かすに違いない。

「大丈夫。海音さんは手負いの熊だもの」

熊扱いされた海音の心情はさておき、萌音はあまり深く考えないようにしようと心に決めて、早々にお風呂から上がることにした。

バスタオルで身体を拭き、最後に髪をタオルドライしながらリビングに向かった。

リビングから、萌音が書斎にしているサービスルームが見える。

「海音さん、私はもう寝室でやすもうかと思いますけど、まだ書斎にいますか?」

「いや、俺もそろそろ横になるよ。書斎を見せてくれてありがとう。とても勉強になった」

笑顔の海音は書斎の中の様子を観察して満足したようで、思わず萌音も微笑んだ。

「じゃあ、ゲストルームに案内しますね。さあ、掴まって」

「お風呂上がりの萌音、色っぽいね」

耳元で囁く海音の声色が色っぽ過ぎて背中がゾクゾクする。

半乾きの萌音の背中まで伸びる髪に顔を埋めた海音は、萌音に寄りかかるようにして身体を寄せてくる。

モコモコのパジャマの上下は萌音のお気に入りの一つだ。

「いい匂い・・・。甘い」

「ほ、ほら。早く寝ないと痛みが再燃しますよ。はい。海音さんはこっちね」

ゲストルームに着くと、萌音は首筋に唇を移動させようとしていた海音を制止して、ベッドに誘導した。

「おやすみなさい。海音さん。明日は病院に連れていきますからね。夜中に何かあったSNSメッセージで知らせてください」

萌音と海音はバディになったその日に連絡先を交換していた。

「・・・おやすみ」

寂しそうな、不安そうな海音の表情。

゛決してその目を見てはいけない゛

萌音は、ペットボトルと鎮痛剤をベッドサイドのテーブルに置くと、足早にゲストルームを去った。

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