一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
それから1時間が経過した。

23時、いつもならそろそろ寝ようかと考え始める時間だ。

しかし、萌音が隣にいると思うだけで胸が高鳴り眠気は一向にやってこない。

この三日、萌音を嫌いになるどころか益々好きになっている。

料理をふるまってもらい、怪我の手当てを受け、移動を手伝ってもらって、着るものの準備や寝床の用意までさせてしまった。

なんの見返りも求めず、ただ、良心に従って行動する萌音が尊い。

感謝の気持ちは十分にある。

だが、8年間の拗らせた想いも半端なレベルではないのだ。

正直、もうこれ以上は限界に近い。

当の昔から、男としてのプライドや欲望がずっと顔を出しているのだが、萌音への愛情がゆえに強固な理性でそれらを押さえつけているだけなのだから。

妄想でしかなかった、あんなことやこんなことが現実味をおびて、海音の心を苦しめる。

海音はついに限界を越え、同意もとらずにフラフラと萌音の部屋に入り込んでいた。
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