一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「はじめまして。建設課の杉田正流(すぎたまさる)です。森田さんの物件の担当をしています」

「はじめまして。設計課の流川萌音です。大黒柱の件ではお手数をおかけします」

ニコニコと手を差し出した男性、杉田は28歳の建築技術者、いわゆる大工さんだ。

大卒であるため、現場の責任者的なポジションにいるという。

「棟梁をはじめ、現場のみんなはいい方ばかりなので安心していいですよ」

建設課の島で、萌音と杉田が現場の話で盛り上がっていると、バタバタと走ってくる海音の姿が見えた。

「杉田、急に俺が抜けて悪い。今日は萌音の案内をよろしく頼む。彼女は新卒だけど、学生時代から現場の経験は多いから安心して」

「ああ、話は聞いてるよ。まさかこんなに可愛らしい女性とは思わなかったけどな」

゛可愛らしい゛

それは、よく萌音の外見を表す言葉として使用されるが、萌音はあまり好きな言葉ではなかった。

「外見で甘く見てると足元をすくわれるぞ。それと、こいつは俺のだから手は出すなよ」

唐突な俺様発言に、杉田も萌音も唖然とする。

「・・・大変だね。こんな束縛バディを持って」

「まあ、可愛いところもあるんですけどね・・・」

走り去っていく海音を見送りながら、杉田と萌音は苦笑した。


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