一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「それでは、この大黒柱をテーブルにして、こことここの梁をチェストに生まれ変わらせましょう」

萌音も森田夫妻も大満足でニッコリと笑った。

棟梁と杉田の助言もあって、スムーズに解体の計画が進んだ。

「そもそも大黒柱なんて太い柱は飾りの意味合いが強い。昔はそれが流行りだったがね。残さずにテーブルにするのが賢明だ」

棟梁も、柱や梁のリユースには賛成だといってくれた。

「それで、これがテーブルとチェストのデザイン案なのですが、お二人も何かご希望はございますか?」

「いえ、インターネット上で流川さんのインテリアデザインを数点見させていただいたのですが、どれも素敵で・・・。だから、今日、実際にお会いして、萌音さんが考えてきてくださったデザイン案の中から決めたいと主人とも話していたんです」

「それでは、あちらのカフェで打合せしましょうか。杉田さん、お時間はありますか?」

萌音が杉田を見ると、

「大丈夫だよ。僕も棟梁達と今後の計画について話をしているからゆっくり話し合ってきて」

「ありがとうございます」

萌音は森田夫妻と連れだって近くのカフェに入った。

「では、このデザインでよろしいですか?製作作業はどうされます?一緒に参加されますよね?」

二人は萌音の描いてきたデザイン画の中から、テーブルとチェストの案を選んでくれた。

「それが、やはり不器用な私達が参加するより、プロの萌音さんに全てお願いしたいと思っているのですがダメでしょうか?最初に言っていたことと変わって申し訳ない」

素人が中途半端に参加するよりも、萌音が一人でやった方が都合はよい。

だが、何か思い出に残ることを企画したい。

「では、色塗りとニス塗りはお二人にお願いしましょうか?」

「わあ、嬉しいです。宜しくお願いします」

それからいくつか打ち合わせをした後、森田夫妻は用事があると先に帰っていった。

萌音は、カフェに残って、森田夫妻と決めたデザイン案や打ち合わせ日程などをタブレットに打ち込んでいた。

「萌音ちゃん?」

声のする方を向くと、それは大学の後輩(年齢は年上の)で、先日、海音とのキスを見られた近藤だった。
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