一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
萌音が森田夫妻の旧家屋についた頃、海音はHotel bloomingに到着した。

普通のカフェや会社の社長室ではなく、わざわざホテルでの打ち合わせにするなんて、佐和田の本気度が現れているようで、益々気が進まない。

タクシーから玄関に降り立つと、派手な女が駆け寄ってきた。

佐和田だとひと目でわかりうんざりする。

「佐和山くん、待ってたわ。行きましょう」

海音にぴったり寄り添い、軽く腕を引く佐和田。

丁度、観光客がソロゾロとバスから降り立っているところだったので、海音は、佐和田の腕を振り払うことができず、佐和田は有頂天になっている。

そのままフロントを抜けたところで、海音はため息をついて佐和田の腕を振り払った。

「こんなところまで来てなんだが、俺はこの話を・・・」

「待って、その話は内密に進めているの。ここでは不味いから打ち合わせ場所についてからにして」

佐和田に言葉を中断され、タイミングよく到着したエレベーターに押し込められる。

「佐和田、あんたって強引すぎると言われないか?」

「仕事も恋も強引さがないとチャンスを取り逃がしてしまうもの」

海音は仕方なく佐和田について行った。

てっきり上階のレストランにつくものと思っていたが、到着したのは最上階のスイートルーム。

「ここで父と秘書が待っているの。さあ、入って」

大手企業になるとスイートルームでの打ち合わせもあるにはある。

疑いながらも、海音は佐和田について行った。
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