一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「ただいま戻りました」

萌音と杉田が会社に戻ったのは、正午をちょうど過ぎた頃であった。

海音はまだ戻っていなかった。

佐和田との件が気にならないわけではなかったが、萌音一筋に生きてきた海音が、そんなに簡単に佐和田の色仕掛けに乗るだろうか?

萌音は、自席につくと、何とはなしにそんなことを考えていた。

゛もしかしたら、萌音の身体に満足せず、大人の色気に溢れた佐和田に興味がわいたのかもしれない。

゛運命の片割れは萌音ではないと気づいて、佐和田に乗り換えようとしているのかもしれない゛

近藤の前では強がりを言ったが、本当は不安でしかたがなかった。

成り行きで、その場の雰囲気で身体を許したつもりはない。

同意のもとだし、後悔もしていなかったはずだ。

萌音は、男女の関係は信頼関係に基づくものなのだと改めて思い知った。

相手を信用し、信頼していなければ恋愛関係も婚姻関係も続かない。

いまだに戻らない海音の空席を見て、萌音はため息をついた。
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