一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
30分後、萌音は頼まれていた二次元CADの製図を完成させた。
「佐和山さん、これでいいですか?」
デスクの右隣にいる海音に、椅子ごと体を向けて萌音は尋ねた。
「どれどれ?」
海音は座ったままでワークチェアのキャスターを走らせて萌音の真横に来ると、密着するように萌音のパソコンの画面を覗き込んだ。
「ちょ、近いんですけど」
「だって見えないもん」
「見えないもん、って子供か!」
萌音と海音のやり取りに、最早、周囲の男性陣は誰も驚かなくなっていた。
「最強コンビ、いや、最強バディだな」
「あの海音を懐柔するとは恐るべし大型新人」
そんな呟きを耳にした萌音が、キッとその男性スタッフを見る。
「大型、大型って、私そんなに太ってますか?」
160cm、54kgの萌音は自分では標準体型だと信じていた。
なのに今日だけで大型新人と何度呼ばれたことか。
「違う、違うよ。大型新人とは期待の実力派新人という意味だよ」
「・・・ならいいっすけど」
高校生男子のような物言いに、周囲の男性陣は声を上げて笑った。
相変わらず、海音は萌音の隣で画面をチェックしている。
その様子は、まるで池の中のおたまじゃくしを覗き込む未就学児のようで微笑ましかった。
が、一癖も二癖もあるこの二人。
そのままで終わるはずがなかった。
「でも、ここの間取りの部分、機能性の面では合格でも、施工主の奥さんの要望には添っていないんじゃないですか?」
「例えば?」
「奥さんは子育ての面からも安全性も重視していますけど、この部分では・・・」
帰るはずだった萌音はデスクに座り込み、何やら海音に熱弁をふるっている。
「指示待ちだけの新人じゃなかったってことだな。頼もしい」
中武主任の言葉に、いつの間にか設計課に顔を出していた矢野課長が
「あの子の凄いところはこんなもんじゃないぞ。何せN工業大学の長嶺教授の秘蔵っ子だからな」
と、頷きながら言った。
イケメン海音に萌音がのぼせ上がって仕事にならないのではないか、と心配していた設計課の男性陣であったが、その心配はなさそうだとホッとしていた。
むしろ、海音の方が・・・。
暗黙の疑惑に、誰も言葉を発しようとはしなかった。
「佐和山さん、これでいいですか?」
デスクの右隣にいる海音に、椅子ごと体を向けて萌音は尋ねた。
「どれどれ?」
海音は座ったままでワークチェアのキャスターを走らせて萌音の真横に来ると、密着するように萌音のパソコンの画面を覗き込んだ。
「ちょ、近いんですけど」
「だって見えないもん」
「見えないもん、って子供か!」
萌音と海音のやり取りに、最早、周囲の男性陣は誰も驚かなくなっていた。
「最強コンビ、いや、最強バディだな」
「あの海音を懐柔するとは恐るべし大型新人」
そんな呟きを耳にした萌音が、キッとその男性スタッフを見る。
「大型、大型って、私そんなに太ってますか?」
160cm、54kgの萌音は自分では標準体型だと信じていた。
なのに今日だけで大型新人と何度呼ばれたことか。
「違う、違うよ。大型新人とは期待の実力派新人という意味だよ」
「・・・ならいいっすけど」
高校生男子のような物言いに、周囲の男性陣は声を上げて笑った。
相変わらず、海音は萌音の隣で画面をチェックしている。
その様子は、まるで池の中のおたまじゃくしを覗き込む未就学児のようで微笑ましかった。
が、一癖も二癖もあるこの二人。
そのままで終わるはずがなかった。
「でも、ここの間取りの部分、機能性の面では合格でも、施工主の奥さんの要望には添っていないんじゃないですか?」
「例えば?」
「奥さんは子育ての面からも安全性も重視していますけど、この部分では・・・」
帰るはずだった萌音はデスクに座り込み、何やら海音に熱弁をふるっている。
「指示待ちだけの新人じゃなかったってことだな。頼もしい」
中武主任の言葉に、いつの間にか設計課に顔を出していた矢野課長が
「あの子の凄いところはこんなもんじゃないぞ。何せN工業大学の長嶺教授の秘蔵っ子だからな」
と、頷きながら言った。
イケメン海音に萌音がのぼせ上がって仕事にならないのではないか、と心配していた設計課の男性陣であったが、その心配はなさそうだとホッとしていた。
むしろ、海音の方が・・・。
暗黙の疑惑に、誰も言葉を発しようとはしなかった。