一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
゛運命の片割れ?゛

゛ツインソウル?゛

そんなものは思い込みと幻想が作り上げた理想像。

心と身体を繋げても、相手への猜疑心や不信感で呆気なく信じる気持ちが萎んでいく。

゛信じたい、信じなければ゛

そう願うのに、見せつけられた証拠という現実に目を背けることができない。

時間が経つにつれ、萌音の中のモヤモヤがどんどん大きくなっていく。

゛証拠もないものをどうやってみんな信じているの?゛

仲良さそうな夫婦や恋人たち。

そのような関係を長く続けていける人々を心から尊敬する。

自分がまるで不純な猜疑心の固まりのようで嫌気がさす。

社長室から設計課に戻る道すがら、萌音は自分が信じてきた理想の存在と、現実に存在する想い人とのギャップに心が追い付かずに混乱していた。

゛とにかく落ち着こう。社長から、中武主任が海音さんを納得させるまで30分くらいは時間を潰すように言われてたんだった゛

萌音は本社を出て、向かいにあるカフェで時間を潰すことにした。

「あら、妹さんじゃない?」

そして、今、最も会いたくない人物に遭遇してしまうという災難に巻き込まれるのであった。
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