一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「で、何があったの?」

「何がって何ですか?」

「海音とのことよ。バディを途中で変えるなんて余程のことがあったんでしょ?」

大学のことやインテリア、デザインの当たり障りのない話が終わって、一通り食事も済ませたころ、唐突に桜が萌音に尋ねてきた。

できれば触れてほしくなかった話題だったため、思わず萌音は沈黙する。

「今日、昼過ぎに海音のフィアンセと名乗る女性が来たって、受付と庶務の社員が騒いでいたわ。社長が取りなしたらしいけど、なんか不穏な様子だったって噂になってる。それもバディ解消に関係してるの?」

゛佐和田は萌音に会った後、あの格好で本社に来たのか?すごい度胸だな・・・゛

と萌音は思った。

佐和田の性格から、強引な手口で話を進めていくのは間違いないだろう。

゛フィアンセまで話が進むと、いよいよ佐和山建設と佐和田産業の提携は真実味を帯びてきたな゛

そんなことを考えながら、萌音がふと顔をあげると

「あの自己中女が海音のフィアンセ?笑わせるわ。それに佐和田産業と提携ですって?うちがそんな危ない橋渡るわけないでしょうに。それでも海音があの子を選ぶというなら生粋のバカだわ」

と、桜が萌音をじっと見ながら佐和田のことを毒づいた。

「海音さんのフィアンセかぁ。あんなイケメンの相手がつとまる人なんて相当美人じゃないと無理でしょうね。あ、流川さんならバディとして横にいても見劣りしないくらい美人だから納得だけど」

しのぶの素直な感想は、入社式の日に萌音が感じていた゛しのぶは海音が好きなのでは疑惑゛を思い出させ、困惑した。

「しのぶちゃんは海音さんのこと好きだと思ってたけど違うの?」

牽制したり駆け引きしても仕方ない。

萌音はストレートにしのぶへ疑問をぶつけた。

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