一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「これはなんだ。返答次第では、私は君を勘当しようと思っている」

風太郎はタレ目の端を思いきり吊り上げて、怒りを表そうとしているがちっとも怖く見えないのが昔から残念なところだ。

風太郎と海音の面前に置かれているのは、佐和田産業と佐和山建設の提携契約書と、佐和田と海音が寄り添ったり抱き合おうとする瞬間の写真の数々。

「海音、萌音ちゃんを傷つけるなと言っただろ?長嶺教授がこの事を知ったらお前は生きては帰れない。建設業界からも美術界からも抹殺されるだろう」

萌音の父・長嶺安輝も、母・流川結子も風太郎にとっては友人で恩人。

建設業界が不況に陥ったバブル崩壊直後。

落ち込む風太郎に助言し、設計やデザインを積極的に請け負って支援してくれた恩を、風太郎は忘れることはできない。

「親父、勘違いしないで欲しい。これを見て真実を知ってくれ」

海音はスマホを取り出すと、ビデオの再生画面を開く。

「海音、こんなことをしたら犯罪では・・・」

「いや、正当防衛のための録音や録画は、相手の同意を得なくても犯罪にはならないと友人の弁護士に聞いたんだ」

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