一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
夢谷弁護士と桜坂CEOと知り合えたのは幸運だった。

各方面に顔が利く彼らは、今後も海音と萌音の力になってくれることだろう。

海音は社長室を出ると、人気の少なくなった設計課の自デスクに戻る。

ガランと空いた萌音のデスク。

我慢強い萌音に゛バディを解消して欲しい゛とまで言わせた自分が、佐和田が憎い。

他人にどう思われてもいいが、萌音だけは別だ。

海音は、山積みになった資料と設計図を手にため息をつく。

厳しくも優しい姉、桜はきっと飲み会が解散となる時には連絡してくれるだろう。

それまでは遅れている仕事をこなして過ごす。

萌音のヘルプを期待して、いつもの数倍の契約を受けてしまっていた。

このままバディ解消状態が続けば、契約相手にも迷惑をかけてしまうかもしれない。

自業自得なのか、巻き込まれ事案なのか。

あきらめるつもりはサラサラないが、離れてしまった萌音との心の距離が、更に遠くならないことだけを今は願いたかった。

萌音は間違いなく海音のツインソウル。

ならば佐和田は悪事で二人を成長させる究極のカルマメイトなのかも・・・。

「んな、わけあるかよ!」

海音は、思わず大声を出して、捻挫した足でゴミ箱を蹴っていた。

「痛え・・・」

痛いのは足だけでなく心もだ。

海音の萌音への想いを知る桜が、なんとか萌音を宥めてはくれないだろうか、と淡い期待を抱きながら、海音は仕事を再開した。
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