一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
ほろ酔いで気持ち良さそうな萌音が、マンションのエントランスの前で海音を見つけて息をのんだ。

「海音さん・・・」

ためらいがちに海音の名前を呼んだが、相手にしないと決めたのか、海音の横を通りすぎようとした。

追いかけようとした海音だったが、捻挫した足が痛み顔をしかめる。

その様子を見た萌音は、立ち止まり、ため息をついて海音を見つめた。

佐和田との疑惑を否定すると、信じがたいという顔をして海音を睨む。

だが、タイミングよく海音のお腹の虫が鳴き、同情したのかマンションに招きいれてくれた。

゛俺の腹よ、グッジョブ!゛

海音は萌音に支えられながら、昼食も夕食も食べていないことを思い出した。

萌音にシャワーをすすめられ、遅くなった夕飯をご馳走になる。

料理上手な萌音の作る料理はとても美味しく、お腹にも優しかった。

代わってお風呂に入った萌音を待つべく、リビングのソファに座る。

するとしばらくして、バスタオル一枚の萌音が慌ててリビングに入ってきた。

「海音さん、ごめんなさい」

と、いきなりバスタオル一枚の萌音の胸の中に頭を抱き込まれる。

萌音は海音が襲われて苦しんでいる可能性を思いつき、慌てて駆け出してきたらしい。

゛やっぱり優しい・・・゛

昼間は佐和田の足に首を絞められ死亡フラグがたちそうになって焦ったが、今この瞬間だけは、こんな柔らかな胸の中で息絶えるなら本望だと海音は思った。

一方で

゛いや、死ぬわけにはいかない。たった一度の萌音との逢瀬だけで死んでたまるか゛

と否定もしつつ、短い至福の時を味わった。
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