一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「僕はねえ、不正が大嫌いなんだよ。その上、純粋な萌音ちゃんを毒牙にかけるとか、萌音ちゃんの運命の片割れを嵌めるとか・・・」

ニヤリと笑った長嶺教授が恐ろしい。

これは、海音が直接手を下さなくても、周りが勝手になんとかしてくれそうだ。

「近藤くんのことは僕が探りを入れてみるよ。今はとりあえず、看護学科の野瀬ちゃんの仕事に集中してくれたまえ。まあ、佐和田のお嬢さんがこのまま黙っているとは思えないけど、それもなんとかしよう」

「Hotel bloomingの顧問弁護士とCEOも相談にのってくれています。警察も介入してくれていますしなんとかなるかと」

「なんとかなるでは困るんだよ。萌音ちゃんを守るのが僕と君の仕事だろ」

滅多に聞かない長嶺教授の大声に

「おっしゃる通りです」

と、海音も頭を下げる。

「そのためには、君には一生貞操を守り抜いてもらわないと。そうでなければ、萌音ちゃんは世を儚んで寺に出家して尼になってしまうかもしれない」

冗談のように聞こえるが、運命の片割れを信じている萌音なら本気でやらかしそうだな、と海音は身震いした。

「それでは困るんだよ。萌音ちゃんの可愛い子供・・・孫を抱くのが老後の楽しみなんだ。それができないとなると、それは僕にとっての死を意味するからね。あ、頑張っても子供ができなかったら仕方ないよ。それとこれとは別だから勘違いしないように」

厳しい顔の長嶺教授の目はマジだ。

人を一人殺せそうなほど鋭く光っている。

「なーんて。期待してるよ。海音くん。絶対に僕をガッカリさせないでね」

打って変わって笑顔を見せる長嶺教授が黒い。

ブラック長嶺参上だ。

昨日まんまと佐和田に襲われていたら・・・?

海音は

「御意」

と膝まずきながら、我ながら昨日は頑張ったなと、自分を誉めていた。
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