一級建築士の萌える囁き～ツインソウルはお前だけ～
そんな中、中等部、高等部合同の教育講演会が開催された。

「命の授業」

そんなありふれたテーマからは、眠気しか連想できない。

きっと

『あなたは大切な存在』

『命は大切に』

といった、不登校や自殺未遂、いじめ問題に真面目に取り組んでいますよ、という学校のパフォーマンス的なアピールに違いないと思っていた。

しかし、その講師の話は違った。

解剖・生理学的な観点から思春期や性を紐解き、中学生の萌音達にでもわかるように噛み砕いた内容で話を進めていた。

ホルモンの働きや、それらが身体に及ぼす影響。

多様な性の在りかたであるLGBT（レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー）についての話。

それは全て、その当時、萌音が悩んでいることへの答えであり、希望であった。

その中でのギリシャ神話の話。

『遠い昔、男女が合体した姿の人間、アンドロギュロスがいた。

二つの頭に二対の上下肢と男女の生殖器を持つアンドロギュロスは強力で、神々を脅かす存在になっていた。

その力を弱めようと神様は男女を切り離した。

しかし、切り離しをしたものの、二対はくっついて離れようとしない。

困り果てた神々は、その二対が繋がることで新しい命を育むことができるようにした。

それが男性、女性の起源と言われている。

人間は欠けた自分の一部を探し求めて恋をする。

ただ本能のままに行動するのは獣と同じ。

しかし、本能を理性で抑えることができるからこそ、人間は素晴らしいのだ』

この話を聞いたとき、萌音の心には暖かい炎が宿った。

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