一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「萌音」

じっと桜坂奏を見つめる萌音の視界を遮るように立ち、責めるような目で萌音を見る海音。

「海音さん、どうしたの?」

首を傾げる萌音に

「佐和山さんも私に負けず劣らずの焼きもちやきのようですね」

同じく夢谷弁護士を抱き寄せる桜坂CEOの態度も、海音を見つめる和奏に嫉妬心を抱いての行動だったようだ。

「今日の19時に私の父が佐和田をこのホテルに呼び出しています。私と萌音、私の姉夫妻も同席します。ご迷惑をおかけしますが場所をお借りしてもよろしいでしょうか?」

「どうぞ。先日のスイートルームをお使いください。私と夢谷弁護士は別室でモニター監視をしながら待機します」

スイートルームには、水谷警部が準備したモニターが設置されている。

佐和田の視覚に入らない所に設置しているので気づかれないだろう、と桜坂CEOは話してくれた。

「ありがとうございます。話が通じないようならヘルプをかけるのでよろしくお願いします」

頷いた夢谷弁護士は無表情だが、萌音に視線を寄越すと、安心させるようにニコリと笑い

「理不尽なことには屈する必要はない。堂々としていてください」

と励ました。

「はい、海音さんを傷つけたこと後悔させてやります」

萌音は長嶺教授に似た黒い笑みでクスリと笑った。

ブラック萌音参上。

゛待ってろよ、佐和田゛

手負いのイケメンフェチの名に懸けて、悪を成敗すると萌音は誓った。
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