一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
19時。

Hotel bloomingのフロント前のティラウンジに、佐和山風太郎と佐和田靖子がいた。

「待たせたかね?」

「いえ、私も今来たばかりです。お義父様」

佐和田に勝手にお義父様呼ばわりされて、タレ目を吊り上げようとする風太郎だが、やはり凄みはない。

「ところで海音さんはご一緒ではないのですか?」

「海音は先に来て待ってるよ。それよりも、同席者が来るはずなんたが・・・。ああ、来た、来た。道端くん、桜待ってたよ」

「道端くん?・・・桜?」

それまでニコニコ顔だった佐和田の顔が一瞬で暗くなる。

「キィ・・・!」

佐和田の呟きは、まるで悪役ショッカーのようだ。

「佐和田さん、久しぶりね」

桜は3センチのヒールを鳴らして風太郎と佐和田の前にやって来た。

若干遅れて、道端洋輔もその隣に並んだ。

「あら、道端桜さん。こんばんは。早速、弟のフィアンセに会いに来たのかしら?見かけによらず礼儀正しいのね」

「あら、海音のフィアンセなら別にいるわよ。自惚れが過ぎるのがあなたの悪い癖ね」

「何ですって・・・!」

キィっ!と歯軋りをする佐和田に

「まあまあ、今から案内するところに行けば全てスッキリするよ。桜も洋輔くんもついてきなさい」

勝ち誇ったようにフンっとそっぽを向いた佐和田は、取り入るような猫なで声を出し、海音にスマホで連絡を入れる風太郎についていった。

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