一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
それからの卒業までの半年間。
海音は購買部や移動教室の行き帰りなどに、校内で萌音を見かけることがあったが決して声はかけなかった。
桃の微炭酸が好きなのも、絵画や文芸図書が好きなこともこの頃に知った。
だが、時が満ちるまでは焦らない。
海音はひたすら勉強に打ち込み、無事にN大学の建築学科に合格。
晴れて長嶺教授の門下生になることができたのである。
卒業したら萌音に会うことは殆どなくなるだろうと海音は覚悟していたが、意外にもそんなことはなかった。
萌音が長嶺教授の教授室に頻繁に出入りしていたからだ。
面倒を逃れるため、海音は大学の四年間も、眼鏡にツーブロックのイケてない男子生徒に擬態して過ごした。
お陰で長嶺教授からは真面目な生徒という信頼を得られ、佐和山建築の社長である父親とも知り合いということで目をかけてもらえた。
萌音は、海音とすれ違ってもたいした反応は示さないし眼中にもないといった感じだった。
まあ、海音は擬態した姿で極力存在感を消して過ごしていたから、そんな萌音の態度に不満はなかった。
『長嶺教授の娘さん、可愛いと有名ですね。心配ではありませんか?』
学科内での製作打ち上げ会という飲みの席で、程よく酔った長嶺教授に、あくまでもさりげなく探りを入れたことがあった。
『ああ、萌音は世界一可愛いよ。だけどね、あの子はギリシャ神話とかスピリチュアルとかの運命の相手を信じてるんだ。運命の相手以外は相手にしないと公言している。だからあまり心配はしていないんだ』
長嶺教授の言葉に、海音は安心すると共に、萌音は自分と同じ感性を持った運命の片割れだと確信を持った。
『僕も運命の片割れを信じています。だから不誠実なことは一切しません』
海音の言葉に
『そうか、そうか。佐和山くんのような好青年なら私も萌音の相手として不服はないんだがね』
と答えた長嶺教授。
『光栄です。長嶺教授の信頼を得られるように努力しますから、今の言葉忘れないでくださいね。言質はとりましたよ』
『わかった、わかった』
酒の席とはいえ脅迫しているようにもみえる真剣な海音の様子に、同席していた同期の津村はドン引きしていた。
海音は購買部や移動教室の行き帰りなどに、校内で萌音を見かけることがあったが決して声はかけなかった。
桃の微炭酸が好きなのも、絵画や文芸図書が好きなこともこの頃に知った。
だが、時が満ちるまでは焦らない。
海音はひたすら勉強に打ち込み、無事にN大学の建築学科に合格。
晴れて長嶺教授の門下生になることができたのである。
卒業したら萌音に会うことは殆どなくなるだろうと海音は覚悟していたが、意外にもそんなことはなかった。
萌音が長嶺教授の教授室に頻繁に出入りしていたからだ。
面倒を逃れるため、海音は大学の四年間も、眼鏡にツーブロックのイケてない男子生徒に擬態して過ごした。
お陰で長嶺教授からは真面目な生徒という信頼を得られ、佐和山建築の社長である父親とも知り合いということで目をかけてもらえた。
萌音は、海音とすれ違ってもたいした反応は示さないし眼中にもないといった感じだった。
まあ、海音は擬態した姿で極力存在感を消して過ごしていたから、そんな萌音の態度に不満はなかった。
『長嶺教授の娘さん、可愛いと有名ですね。心配ではありませんか?』
学科内での製作打ち上げ会という飲みの席で、程よく酔った長嶺教授に、あくまでもさりげなく探りを入れたことがあった。
『ああ、萌音は世界一可愛いよ。だけどね、あの子はギリシャ神話とかスピリチュアルとかの運命の相手を信じてるんだ。運命の相手以外は相手にしないと公言している。だからあまり心配はしていないんだ』
長嶺教授の言葉に、海音は安心すると共に、萌音は自分と同じ感性を持った運命の片割れだと確信を持った。
『僕も運命の片割れを信じています。だから不誠実なことは一切しません』
海音の言葉に
『そうか、そうか。佐和山くんのような好青年なら私も萌音の相手として不服はないんだがね』
と答えた長嶺教授。
『光栄です。長嶺教授の信頼を得られるように努力しますから、今の言葉忘れないでくださいね。言質はとりましたよ』
『わかった、わかった』
酒の席とはいえ脅迫しているようにもみえる真剣な海音の様子に、同席していた同期の津村はドン引きしていた。