一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
本領発揮
「ほら、座って」
海音が萌音を連れてきた場所は、N大学の敷地内にある憩いの広場だった。
「あ、ついこの間まで通ってたのに懐かしい」
萌音は、大きな木の下のベンチを見かけると急いで走り寄り、嬉しそうにゆっくりと腰かけた。
「ここから建築学科の作業室が見えるよね」
萌音の隣に腰かけた海音は、そこから見える校舎の一室を指差して、緑茶のペットボトルを萌音に差し出した。
「ありがとうございます」
海音からペットボトルを受け取りつつも萌音はじっと作業室を見ていた。
春休みだが、建築模型作りに熱中する生徒が見うけられる。
゛見覚えがないから今年入学予定の一年生だろうな゛
と萌音は思った。
流れ作業のように受け取ったペットボトルの蓋を開けて萌音が中身を口に含むと、それは大学四年間、萌音が好んで飲んでいた銘柄のお茶だった。
佐和山建設本社内には売っていない。
桃の微炭酸飲料に続き、海音はなぜ萌音の好みを把握しているのだろうか?
萌音は不可解な出来事に納得できず、じっと海音を見つめ続けた。
「・・・さわやん?」
萌音は、徐にサラサラの海音の前髪を両手で二つに分けると、自分がポケットに携帯しているパソコン用のブルーライト眼鏡を取り出して海音にかけた。
「・・・!やっぱり、さわやんだ」
眼鏡が黒縁ではないが、完成した目の前の男性は、ずいぶん前にこの大学を卒業した長嶺教授の門下生で同級生や先輩・後輩から゛さわやん゛と呼ばれていた男性だった。
海音が萌音を連れてきた場所は、N大学の敷地内にある憩いの広場だった。
「あ、ついこの間まで通ってたのに懐かしい」
萌音は、大きな木の下のベンチを見かけると急いで走り寄り、嬉しそうにゆっくりと腰かけた。
「ここから建築学科の作業室が見えるよね」
萌音の隣に腰かけた海音は、そこから見える校舎の一室を指差して、緑茶のペットボトルを萌音に差し出した。
「ありがとうございます」
海音からペットボトルを受け取りつつも萌音はじっと作業室を見ていた。
春休みだが、建築模型作りに熱中する生徒が見うけられる。
゛見覚えがないから今年入学予定の一年生だろうな゛
と萌音は思った。
流れ作業のように受け取ったペットボトルの蓋を開けて萌音が中身を口に含むと、それは大学四年間、萌音が好んで飲んでいた銘柄のお茶だった。
佐和山建設本社内には売っていない。
桃の微炭酸飲料に続き、海音はなぜ萌音の好みを把握しているのだろうか?
萌音は不可解な出来事に納得できず、じっと海音を見つめ続けた。
「・・・さわやん?」
萌音は、徐にサラサラの海音の前髪を両手で二つに分けると、自分がポケットに携帯しているパソコン用のブルーライト眼鏡を取り出して海音にかけた。
「・・・!やっぱり、さわやんだ」
眼鏡が黒縁ではないが、完成した目の前の男性は、ずいぶん前にこの大学を卒業した長嶺教授の門下生で同級生や先輩・後輩から゛さわやん゛と呼ばれていた男性だった。