一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
今日の萌音も可愛らしかった。

仕事の間中、ずっと傍にいられたし、何よりも今日は、手を繋いで、抱き締めて、しまいにはキスをすることに成功した。

萌音の身体は想像していたよりも柔らかく、唇はバニラのように甘かった。

今まで何度も妄想していたことが現実になる。

゛バディ制度、満員電車バンザイ!゛

海音は心の底からそう思っていた。

今日ほどあの苦痛な満員電車に感謝した日はないだろう。

他人と密着する満員電車は、男性にとっても苦痛である。

海音は、知らない女性や男性にお尻を触られたり股間に手を添えられそうになったことだってあるのだ。

男性だけが痴漢の加害者だと思ってもらっては困る。

世の中にはいろんな性癖の人間がいるのだから。

それはともかく、

そんな邪な奴らから女性を庇う、という大義名分を得て、海音は堂々と?壁ドンからの抱擁に成功した。

何度も電車がカーブを通過する度に、萌音の身体が海音の身体に密着してきた。

これ幸いとばかりに抱き締めて支え、

゛最高のご褒美だ゛

と絶叫しそうになった。

『美男美女のお似合いのカップル』

と、海音と萌音の目の前で抱き合っているバカップルの女の方が呟くのを聞いて、萌音が上目遣いで二人を見つめた。

すると、バカップルの男の方が厭らしい目付きで萌音を舐め回すように見ているのが目に入った。

すかさず態勢を変えて男の視線を遮る。

゛上目遣いの可愛い萌音を見るのは俺だけでいい゛

゛何年も苦労して今正に手中におさめようともがいてる俺の気持ちがお前に分かってたまるか!゛

何も知らない目の前の男に、しかも彼女といちゃついている気持ち悪いだけの男に嫉妬するなんて海音もどうかしている。
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