一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
萌音は、木材だけでなくその他の資機材を自分で加工し、家具やウッドデッキ、トレリスなどを自ら製作する。

可愛いもの、お洒落なもの、落ち着いた雰囲気のもの。

相手のニーズにそった商品や建物が出来上がる過程が、萌音は大好きだった。

提案と話し合いの結果、大黒柱はテーブルと壁に備え付けのチェストに生まれ変わることになった。

古い家屋の取り壊しの際に立ち合い、どの柱を残すのかを決めて、後日、萌音と共に森田夫妻も家具作りに参加することになった。

「私も参加させてもらっていいですか?」

「もちろんです。佐和山さんがいてくれると心強い」

英生は男なのに不器用なので、男性のフォローがあると助かる、と笑った。

「ツーバイフォーなら予算も押さえられるし、インテリアになるなら思い入れのある大黒柱の存在を常に感じながら日々を過ごせる。やっと目の前が開けましたよ」

森田夫妻のホッとした顔に、萌音の笑顔も満開になる。

「・・・まあ、本当になんて可愛らしくて素敵な娘さんなのかしら」

森田万智の言葉に、森田英生も大きく頷いて

「うちの息子の嫁になりませんか?まだ高校生ですけど」

と言ったので、萌音は益々可笑しくて笑った。

しかし、

「社交辞令でも嬉しい・・・」

と、返そうとした萌音の言葉を遮るように、

「私のバディを口説かないでくださいよ。現状でも手一杯なのにこれ以上ライバルを増やさないで下さい」

と海音が真剣に言ったので驚いた。
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