一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
休日の電車は平日と比べ客層が変わっていた。

スーツの男女の割合が減り、観光客だけでなく、休日を楽しむ学生達が辺りを囲んでいた。

外国人らしき観光客の姿も多い。

萌音は周りを見渡しながらも、先日と同じように海音に壁ドンされた状態で周囲から守られる形になり、いたたまれなくなって話題をふった。

「会場はどこですか」

「ここから5駅のところにある芸術劇場内の展示室だ」

その芸術劇場はコンサート会場と大中小の展示室が多数あり、常設された芸術品の他、週がわり、月がわりで様々な催しが行われている。

「えっ?あそこ大好きなんです。予定外の展示も見られるかも」

萌音の固い表情が一気にほころぶ。

隣に立つ男がチラリと萌音を見た。

つられるように萌音もその男性に目線を向けようとしたとき電車が大きく揺れた。

「くっついてろ」

右腕で海音の胸に抱き込まれる形で周囲からギュウギュウに押さえつけられる。

゛後5駅このままで耐えられるだろうか?゛

ドキドキする鼓動がばれやしないかとヒヤヒヤしながら、今日も萌音は満員電車に翻弄されることになった。


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